津田岳宏の事務所

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2012年12月26日 (水)

ソープランドとフリー雀荘

私が雀荘でメンバーのアルバイトをしていたときの話。


「いや~、若いって素晴らしいね。」


石けんの匂いをさせながらホクホク顔で店に入ってきた常連客Aさんに、われわれメンバーは苦笑した。

Aさんは、前日、メンバーツー入りの卓で大勝。
「明日はソープだ。うっほっほ」
と上機嫌で帰っていった。

そして宣言通りにソープに行ってから、また麻雀を打ちに来たのだ。
「ユキちゃんのために今日も勝つぞ~」
と張り切っていたが、その日は大負けしていた。

ま、ざまあみろである。
泡姫のサービスを受けて、さらに麻雀の女神の寵愛も受けられるほど、世の中甘くないわ( ̄▽ ̄)


閑話休題


ちょっと前になるが、吉原で大手ソープランドグループが摘発された。

ソープランドとフリー雀荘の法律上の扱いは、よく似ている。

ソープランドは、風営法第2条6項の「店舗型性風俗特殊営業」のうち、同項1号の「個室浴場業」に該当する。
風営法上、一応認められている営業である。

”一応”と付けたのは、ソープでセックスがなされているのは周知の事実だが、売春防止法により売春は違法なので、ソープでセックスするのは違法だからである。

風営法上、セックス以外のマッサージ等のサービスは認められているが、セックスは違法である。
もっとも、セックスを断られるソープはない。
つまり、全てのソープは、厳密には違法営業をしているということである。


風営法の許可は得ているが、”売春””賭博”という違法とされているコンテンツを売っている。
店内でセックスや賭け麻雀がなされていることは周知の事実であり、めったに捕まることはない。
ただ、ごくまれに摘発される。
ソープとフリー雀荘は、グレーゾーン店舗の代表である。とてもよく似ている。


ソープとフリー雀荘の違いは、客が処罰されるかどうか、という点である。
雀荘が摘発されれば、客も賭博罪で処罰される。
一方、売春防止法で売春は違法とされているが、売春自体には罰則規定がない。ソープの客が逮捕や処罰をされることはない。
参考人として事情聴取はされるが、それ以上の大事にはならない。
私は司法修習生のとき、ソープが摘発された事件の記録を読んだことがある。

問(警察官) セックスしてあなたはどういう気持ちだったか。
答(参考人) それは刑事さん、天にも昇る心持ちでしたよ。

などというやり取りが調書に記載されていた。


売春自体に罰則はないが、売春防止法12条により、「売春をさせる業」は、処罰される(管理売春罪)。これにより、ソープランドの店側は処罰される。

管理売春罪が成立するには、店がソープ嬢を管理支配していることが必要となる。
裁判でこの点が争われ、ソープ側が無罪を主張した例がある。
「ソープ嬢が客をセックスするかどうかは嬢の自由なので、店が管理支配しているわけではなく、店は無罪である」
という主張がされたのである。
このとき、店側は
「売春することが雇い入れの条件にはなっていない」
「店がもらっているのは”入浴料”だけであり、売春の対価の”サービス料”は全てソープ嬢の懐に入っており、店は関知していない」
などの主張もした。

しかし、裁判所は、
①ソープ嬢は皆売春をしており、客も皆セックス目的で来店している
②出勤中のソープ嬢は無断外出が禁止されていた
③サービス料を取らないとソープ嬢の収入はほとんどなかった
④店はソープ嬢の成績を点数化してグラフに表示し、暗に売春を奨励していた
⑤店はソープ嬢に、使用済のコンドームを店内に放置することなく必ず持ち帰って処分して売春の痕跡を残すことのないように厳しく指導していた

などを根拠として、店の主張をしりぞけた(昭和53年12月7日福岡高等裁判所判例)。


「ソープは形式上自由恋愛なので捕まらない」と言っている人がたまにいるが、これは、「ピンの麻雀までは捕まらない」というのと同じく、誤解である。
警察がその気になれば、全てのソープランドは摘発されてしまう。



今回の摘発については、当該ソープランドグループが系列店を多く持つ大手であり宣伝活動も派手にしていたことが原因では、という指摘がされている(参照)

このあたりの事情も、フリー雀荘とそっくりだ。
売春防止法違反も、賭博罪と同じく、風紀に対する罪なので、「公然性」がキーワードになる。
こっそりする分には捕まる可能性は低いが、宣伝活動などにより公然性が増すと、風紀への悪影響が大きいとみなされて、検挙の可能性が増す。

店というのは営業努力しないとつぶれるものだが、ソープランドやフリー雀荘は皮肉なことに、営業努力すればするほど、検挙の可能性が増す。
捕まりたくなければ、宣伝などせずに、ひっそりと細々と営業しなさいということである(「麻雀と賭博罪」参照)。


ただ、違法である以上検挙はやむを得ないのかもしれないが、ソープランドが熱心に営業努力をして、それが社会に悪影響を及ぼすといえるだろうか。

検挙された店は、安価で良質なサービスを提供して評判になっていたのだという。
そのような店は、悪影響があるというより、むしろ性犯罪の抑制などの点で社会的にプラスになっていた面も大きいのではないか。

売春防止法は風紀に対する罪なので、本件の弁護側は、店が社会的に悪影響を及ぼしていない、というのを強くアピールしていきたいところである(この点でもフリー雀荘と同じ)。

逮捕された人たちには、できるだけ軽い処分が下ってほしいと願う。




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