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2012年12月10日 (月)

裁判でいちばん大事なルール

裁判は、一定のルールのもとで勝敗を決めるものであり、その点では、囲碁、将棋、麻雀などと類似する頭脳ゲームの側面がある。

実際、法曹界には囲碁将棋や麻雀を趣味とする人も多い。
少額賭け麻雀がいかに健全か、ということを主張したある裁判で、弁論終結の直後、裁判官から笑顔で「先生も麻雀がお好きなんですか?」と聞かれてびっくりしたことがある。きっとあの裁判官も麻雀ファンのはず、と私は勝手に思っている。


将棋や麻雀と同じく、裁判も、勝つためにはそのルールに精通することが大事である。

私人同士が争う民事裁判でいちばん重要なルールは、「立証責任」である。
これを知らずに裁判することは、役を覚えずに麻雀することに等しい。それくらい大事なルールである。

「立証責任」とは、「ある事実の存在を主張する人が、それを証明する証拠を出して立証しないといけない」というルールである。

たとえば、A氏がB氏に金を貸したが、契約書はつくらなかった。金は手渡ししたので、銀行の振込記録も残っていない。貸したという事実を示す証拠はいっさいない。
こういう
ケースで、A氏が「貸した」と主張し、B氏が「借りていない」と主張したとき、真実は貸したという事実があったとしても、裁判では「貸した事実はなかった」という認定がされる。

「立証責任」のもと、「貸した」という事実の存在を主張するA氏が契約書などで立証しないといけない。
しかしA氏にはそれができないので、たとえ「貸した」という事実が真実でも、裁判では「貸した事実は存在しない」という認定がされて、A氏の負けとなる。
証拠がない事実は、裁判所では認められないのだ。


何だか理不尽だと思う人もいるかもしれないが、これは仕方のないことである。
なぜなら、
A氏とB氏と違うことを言っているとき、第三者の裁判官はどちらが正しいことを言っているのかは分からない。
このとき、「立証責任」のルールがなければ、
A氏とB氏で演技力が優れている方が勝つ、あるいは、A氏が大企業役員でB氏がフリーターなら「大企業役員のA氏の方がきちんとしたイメージがある」という理由でB氏が負ける、ということになりかねない。
これは、不公平で不合理である。

こういう不公平を避けられるので、「立証責任」が採用されている。
「証拠があれば認められる。なければ認められない」というのは万人に共通なので、「立証責任」は、ある意味で公平なルールなのである。

証拠がない事実は、裁判所では認めらない。
それが真実であっても、証拠がなければ裁判では負けてしまう。


大きなお金がからむような話は、絶対に証拠をつくっておく。つくった証拠はきちんと保存しておく。
こうしておかないと、「立証責任」のもと思わぬ大損をするかもしれないので、ご注意を。

なお、今日の話のように、一般の人が知っておいておけば助かると思われる法律の話をまとめたのが、拙著「弁護士には聞きにくい 知って助かる!法律相談(青春出版社)」である。
興味ある方は、ご購入ください。
最後は宣伝になってしまって失礼しました('~`;)

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