津田岳宏の事務所

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2013年1月 9日 (水)

麻雀店とコンプライアンス

少し遅いですが、新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。

さて、新年早々、気持ちが暗くなるニュースを見つけてしまった。
麻雀店が賭博罪で検挙されたことが、麻雀店の減少に追い打ちをかけているという記事だ。

記事によると、麻雀店の営業スタイルをはじめ、全自動卓までも違法性を指摘されたことが、麻雀店の減少に追い打ちをかけているのだという。

この点、事件の担当弁護士として少し反論させてもらうと、全自動卓については、逮捕された販売会社社長は、嫌疑不十分で不起訴になっている。
記事を読むと、点数精算機能付き全自動卓は違法であり処罰されるもの、という印象を受けるが、これは正確ではない。
「逮捕」というと、一般的に「逮捕=犯罪者」と考えられることが多いが、これは間違った認識である。
法律上、「逮捕」とは、単に犯罪の疑いをかけられた、というだけである。
起訴されて有罪判決が確定してはじめて、罪が確定するのであって、逮捕されただけでは確定しない。
疑いは、晴れることもある。
点数精算機能付き全自動卓についていえば、賭博幇助罪の疑いはかけられたが、後に、疑いが不十分だということで不起訴になっているのであり、これは声を大にして言いたい。

事件の後、多くの麻雀店が点数精算機能を使わないようにしたのは事実であり、私も業界から相談を受けたときはそうするよう助言しているが、これは、「少しでも疑われることはやめましょう」というコンプライアンス(法令順守)を徹底する姿勢から自粛しているのである。
何せ、麻雀店はとても弱い立場なので・・。



全自動卓はさておき、多くの麻雀店の営業スタイル、端的に言うと賭け麻雀なのだが、これは残念ながら違法である。
ピンであろうと、テンゴであろうと、現在の法律のもとでは、違法になってしまう。
記事に書かれている麻雀店の賭博事件で、弁護人の私は全力で無罪の主張をしたが、裁判所は認めなかった。(本ブログ麻雀裁判麻雀と賭博罪参照)

なお、この裁判で「半チャン20回で2万円負けました」という供述書が証拠で出てきたので、反復性や2万円という額に着目してネット上で議論している人もいるようだが、「20回」とか「2万円」とかという数字には重要な意味はない。
判決では、1500円程度のやり取りも、「決して低廉とはいえない金銭」と評価され、違法であるとされている。
ピンはおろか、テンゴも、完全に違法賭博であると認定されてしまっている。
もちろん、半チャン1回だけでも、違法賭博である。


事件の後、多くの麻雀店は、レートの表示をやめた。
それでもいまだにレートを表示している麻雀店もあるようだが、これは絶対今すぐやめるべきだ。
「捕まえてください」と宣伝しているようなものである。

レートの表示はダメ。
派手な宣伝もダメ。
新規客の獲得に力を入れるような活動は控えてください。
捕まりたくなければひっそりと細々営業してください。

麻雀ファンのひとりとしてはこんなことを言いたくないのだが、現状の法律では、こう助言するしかないのが口惜しい。

麻雀店は、「グレー」ということでずっとやってきたが、コンプライアンスがうるさく言われるようになり、「グレー」というものが認められ難くなった現代において、「グレー」でやっていくにはもう限界のようにも思える。


ただそもそも、テンゴやピンの麻雀で処罰に値するような社会的害悪が発生するのかと言えば、それは全く違う。
ギャンブルが悪だというのは偏見であり、科学的根拠は何もない(このあたりに興味のある人は拙著「賭けマージャンはいくらから捕まるのか?」を読んでくださいm(__)
m)。

全雀連の斉藤理事長が言うように、健全娯楽として麻雀を世間に認めてもらって、一般におこなわれる低額の賭け麻雀は「合法」という世の中にすべきである。


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麻雀」カテゴリの記事

コメント

麻雀裁判の記事ではお返事ありがとうございました。

年末年始に帰省して久々に会う友人と卓を囲んだんですが、とても楽しい時間が過ごせました。

現状、違法状態にあるフリー雀荘をクリアにするための政治への働きかけがいつか法律改正につながることを期待しています。

しかし、法律改正を主張する前に業界側が自浄していかねばならない問題も多々あると思います。
特に気になるのは深夜営業についてです。(個人的には深夜にも営業しててほしいですがw)
風営法違反であるばかりか、脱税にもつながりかねないと思うからです。
低額の賭け麻雀も深夜営業もグレーなどではなく黒だけど、目を瞑ってもらっていただけだと思います。
そして、自浄努力と同時に、健康麻雀などのアピールポイントももっともっと世間に伝えていってほしいですね。

世間にイメージのよくない麻雀業界、まず自分の襟を正さねば、人気商売の政治家さんが真剣に向き合ってくれるとはとても思えません。

勉強になります!
とても興味深い記事でした!

つかぴょん

麻雀裁判の記事など拝読させて頂きました。
私も元メンバーでしたので、今回の事件には驚いております。
そこで、私が気になるのはなぜ今になって、このように検挙されるのでしょうか?
法学博士であった故小室直樹氏は法律とは慣習となっているかどうかが大きな問題
であるということを述べていました。
点5、ピンも違法には変わりないでしょうが、慣習の中では今まで認めれてきました。
この慣習を破る京都府警の意図は、どのようなところにあるのでしょうか?
突然のメールすみません。興味深いブログを書かれていましたので
コメントさせて頂きました。

>たっきーさん

コメントありがとうございます。

おっしゃるとおりです。

いったんついたイメージを覆すのは難しいことであり、健全になろうとしている姿勢を徹底的にアピールしないと、道は開けないと思います。

ただ、業界をよく知る身としては、麻雀店で採算を合わせる困難さも分かるので、深夜営業の規制はある程度緩和してほしいとも思います。これも難しいことなのですが・・

>名川さん、コメントありがとうございます。

今回の件は、派手に宣伝したことが原因と思われます。
本ブログ「麻雀と賭博罪」でも書きましたが、宣伝を熱心にすると「公然性」が増すので、警察に検挙される可能性が高まるのです。

テンゴやピンは慣習で認められていた、というのはではなく、公然性が低いのでお目こぼしされていた、と言った方が正確です。
今後も、麻雀店が派手に宣伝するようなことがあれば、検挙されることもあるでしょう。

もっとも私は、テンゴやピンの麻雀は公然とやったとしても社会的害悪は発生しない、と考えているので、低額の賭け麻雀は合法化すべき、と考えています。

返信ありがとうございます。
起訴された麻雀店がそれほど、つまり「公然性」に反するほど
宣伝活動を行っていたということですか?
しかし、テッシュくばり、またはレートの表示などぐらいは普通に普段から行われていた
と思います。
やはり京都府警の突然の行為は解せません。

>名川さん

再度のコメントありがとうございます。

法律上、「普段から行われていたが今までは捕まえられなかった=認められていた」ということにはなりません。普段からしていれば違法も合法になる、というのであれば、法治国家でなくなってしまうからです。

少額でも賭博は有罪、という確固たる判例がある以上、「今まで捕まえなかったのに突然捕まえるのはおかしい」という反論は、法律上は認められません。

結局、今の法律では、「この店はやり過ぎているので捕まえよう」と警察が判断した時点で検挙が可能であり、その点は警察の裁量にゆだねられています。

また、「公然性」は、形式的には法律上の要件ではありません。なので極端に言えば、レートの表示や宣伝活動がなくても、賭け麻雀店を検挙することは可能なのです。そこをどうするかは、完全に警察の裁量です。それゆえ、警察を批判することはできません。

法律や判例が変わらない限り、この点は変わりません。

なお私も裁判で「少額の賭け麻雀は一般的にされており、処罰に値する違法性はない」と強く主張しましたが、残念ながら判例を変更させることはできませんでした。


再度、返信ありがとうございます。
私は「今まで捕まえなかったのに突然捕まえるのはおかしい」と述べているわけ
ではなく。確かに違法行為であることは認識していますが、
司法において慣習というものが、考慮される余地というのは無いというこでしょうか?

たびたびの質問、申し訳ありません。


>名川さん

賭け麻雀を多くの人がしているという社会状況(慣習)は、もちろん考慮の一要素です。
ただ、それを考慮したとしても少額の賭け麻雀は違法である、というのが現在の判例なので、麻雀業界はこれを真摯に受け止めないといけません。

判例を覆すことができず、私も非常に悔しいのですが・・

なるほど、素人の質問に長々とお付き合いくださりありがとうございます。
現状の麻雀賭博の状況を理解することができました。
それでも罰せられたということですね。

と、なると法改正しかないという津田様のご意見も分かりました。

なぜ、麻雀だけ?という不公平感があり、正直庶民のささやかな楽しみなんでほっといてってくれって感じですけど、それをほっとかない世の中になっているんですね。

以前、『違法カジノの是非』でお世話になりました01と申します。

賭け麻雀に関して、(まだ完結はしてませんが)できうる限り客観的にまとめた記事を書いてみました。
http://ameblo.jp/010101/entry-11470924580.html

お忙しいとは思いますがご批評をお願いできませんでしょうか。

どうぞよろしくお願いします。

>20回」とか「2万円」とかという数字には重要な意味はない。

これはごもっともですが、20回打ったってことはゲーム代で10000円は支払っている。
つまり、麻雀での負け額は10000円ってことです。

20回というのは店の台帳とか卓に記憶されていた回数なんでしょうか?
もし、40回打ったのであれば、ゲーム代で20000円を支払っており、麻雀では±0ということになります。(ゲーム代各人500円+トップ200円とか、600円だとしたら)

踏み込まれた時点で、勝ってる者が居たのでしょうか?
全員が(ゲーム代に食われて)負けになっていたら賭博は成立していないとも言えるのではないでしょうか?

その場の一時的な状態で見れば誰かが勝って、誰かが負けているという状態になりますが、長期的なTotalで見れば全員が負けてしまうのがフリー麻雀です。

この点を突いての弁護は出来なかったんでしょうか?

賭博罪とかいう警察ご都合主義のクソ法律なんて潰れてしまえ!

と思いながら「勤労意欲の衰退(笑)」の弊害なんぞまったく感じずにバイトに勉学に麻雀に勤めている学生です。

そもそも図書券麻雀(とかいう小学生以下の言い訳)がOKな警察様がカード換金の雀荘を検挙する義理もないですけどね!

古い記事ですが勝手な気持ちを書き連ねさせていただきました。
あいにく私は弁護士になる脳みそなんぞ持っていませんのでお力にはなれませんが、ほんと・・・頑張ってください。

こんにちは。
有名チェーン店の麻雀屋さんは当然税金を払っている訳ですよね。
違法なことをしていると分かってて税金を徴収していると云うのは矛盾してませんか?
そこは知らんぷりで違法性だけを問うと云うのはどうも解せませんが、、、、、、

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