津田岳宏の事務所

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2013年2月25日 (月)

快感回路ーなぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか

雀荘でアルバイトしていたとき、毎日のように来るお客さんがいた。そのくせ「もう麻雀はあまり面白いとは思わない」なんて言っていた。
じゃあ何で毎日来てんだよwと不思議だったが、こういうのは科学的に説明できるようだ。


「快感回路」(河出書房新社)という本を読んだ。
アメリカの神経学者が、人が快感を覚えたり依存症に至るプロセスを脳科学の側面から書いた本である。非常に興味深かった。今日の記事は本書をもとにすすめる。


人が何かに快感を覚えるとき、脳内の小さな一領域である内側前脳快感回路(以下「快感回路」)と呼ばれる部分が、刺激されて興奮する。
薬物やギャンブルであれ、セックスや高カロリー食であれ、あるいは慈善的な寄付行為であれ、人が快感を覚えるときには、例外なく快感回路が興奮している。
ヤクでキマっている人と、ボランティア活動で喜びを感じている人とで、脳内で起きている現象は同じなのだという。

社会動物である人間は、社会的評価を受けると快感回路が強く刺激される。
とくに、快感回路内の「側坐核」「背側線状体」と呼ばれる部分が活性化し、それは、金銭的報酬で活性化する部分と同じらしい。
金持ちが政治家になりたがるのは、科学的に説明できるようだw

本書では、薬・食べ物・セックス・ギャンブルにそれぞれ1章が割かれ、依存症について詳細に解説されている。
依存症者は、快感を感じ取る快感回路に異常が生じている。
それは具体的に言うと”鈍く”なっているいうことである。
普通の人と同じ量では、快感がない。必然、より多くの量を求めるようになる。するとますます”鈍く”なる。さらに量を求める。
この悪循環が依存症を進行させていく。
薬物依存症者は、他の人よりも薬物を欲しがるけれども、他の人ほど薬物が好きではないように見えるものらしい。

「麻雀はあまり面白くない」と言いながら毎日来ていたあの人は、もしかしたら依存症の初期症状だったのかもしれない。
依存症予防の観点からは、昔ほど面白くないけど何となく・・となった時点で、その”楽しみ”から少し距離を置いた方がいいようだ。


依存症が進行していくときの快感回路の変化は、経験や学習によって記憶が貯蔵されていくときの神経回路の変化と同じである。
皮肉なことに、人は、経験によって学ぶ能力があるからこそ依存症にもなり得ると言えるらしい。


本書は、ギャンブル依存症についても詳細に記載されている。
ギャンブルの快感は、惜しい負け(ニアミス体験)によって増幅されていくのだという。惜しいリーチが空振りするほど続けたくなるのだと。
うーん、これは実感として納得できるw
また、ギャンブラーがもっとも快感を覚えるのは、結果が出るまでの待ち時間なのだという。スロットやルーレットが回っている時間や馬が最後の直線に入ったときに、快感回路がもっとも刺激される。

ギャンブルには快感が伴うが、当然ながら、全てのギャンブラーが依存症になるわけではない。誰もが食事をし、セックスをし、多くの人は酒を飲むが、ほとんどの人は依存症になららない。同様に、たいていの人はときおりギャンブルを楽しむだけで、病的にのめり込んだりしない。

しかし、少数のギャンブラーが依存症になるのは事実である。
ギャンブル依存症の特徴は、女性より男性がはるかに多いこと、遺伝することが多いこと。
そして意外なことに、ギャンブル依存症者にはビジネスの世界で大きな成功をおさめる精力的な人物も多いこと。
タネ銭があるからこそ依存症になるということか。なるほどそういやどこぞの紙屋のボンボンもw


著者であるリンデン教授は言う。
依存症は脳の病気である。
これには、依存症の発症は患者の責任ではないという考え方を伴う。
しかし、依存症からの回復は患者の責任である。
患者には、発症はさておき、回復への責任や、回復に伴うもろもろの問題への責任がある。
病気なのだから責任はなく何もしなくていいというわけでは決してない。


私は、ギャンブルについては、患者にはもちろん、利益を上げている胴元にも、依存症の予防・回復への責任があると思う。
ギャンブル産業は、大きな利益が上がる。
しかしその反面、ギャンブル依存症を生むことになる。リンデンも指摘するように、合法的ギャンブルが増えるほどギャンブル依存症者は増える。
とすれば、依存症への対策は、胴元の必須事項である。

海外のカジノでは、依存症と思われる客への入店を禁止するなどして、依存症対策をしている。
日本では、パチンコ店が実質的に庶民のカジノになっているが、そういう対策は一切していない。
これも、「パチンコは賭博ではない」というグレーな扱いゆえの問題であろう。
「賭博ではない」のだから、ギャンブル依存症への対策はしない。できない。対策をしたら、パチンコが賭博だと公認したことになるではないか。そういうことなのだろう。
それならば、パチンコの換金も合法化して、その変わりに依存症対策を法で義務付けした方がよほどいい。
また、麻雀店も、フリー雀荘を合法化したいのであれば、合法化のあかつきには依存症対策も完璧にする、と言っていかねばならない。

今の日本の法律は、ギャンブルを建前では違法とする一方で黙認されるグレーゾーンも広く、くさいものにはフタをするような扱いで、ギャンブル依存症への対策も全く不十分である。
それならば、合法領域を増やし、その変わりに依存症への対策も強化徹底したした方が、依存症者は減るはずだ。
依存症者のためにも、グレーは撤廃し完全合法化した方がいい。


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