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2013年3月 2日 (土)

ギャンブルと不労所得

ギャンブルが犯罪として処罰される根拠について、最高裁判所は第一に「国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、健康で文化的な社会の基礎をなす勤労の美風を害する」ことを挙げている。

ギャンブルは、楽して稼ぐうまみを覚えさせて労働意欲をなくさせるものだから犯罪として処罰する、というわけだ。

しかし、この解釈は誤っている。

ギャンブルは儲かるものではなく、それゆえ、ギャンブラーは儲ける目的で賭けてはいない。
もちろんギャンブラーは、勝つために全力を尽くす。
しかし、確率的にはトータルでマイナスになるのは分かっている。
トータルでは必ずマイナスになるが、一時的には勝ったりもする。勝ったり負けたりするそのスリルを金で買っているのである。


負けるのが分かっていて勝つために全力を尽くす。


ここに、ギャンブラーの矜持があるのだ。

たまに、「俺は競馬で大穴取った日にスッパリやめたんだ。バクチの必勝法、それは勝ち逃げだぜ。」なんて自慢する人がいるのだが、ほんとヤボだなと思う。
勝つためだけにしたいのであれば、それは小学生のテレビゲームと同じだ。コンティニューできない「負け」にこそ、大人の遊びの味わいがある。

おもしろうてやがてかなしきバクチかな

負けのわびしさを味わえていない人がギャンブルを語るのは滑稽である。

まあ、興味ない人からすれば全く理解できないだろうけど、私も、登山を趣味にしている人に「休みの日にしんどい思いをして高いところに登るだけ。それのどこが楽しいの?」と思うし、趣味とはそういうものである。



一般庶民のギャンブルは全て趣味である。

麻雀についていえば、テンゴやピンのフリー麻雀でトータルプラスに持っていくのは神業に近く、生活できるだけの金を稼ぐことは不可能といってよい。
これを認めたところで、人々の労働意欲をなくさせることになるはずがない。
むしろ、ストレスを解消させたり、また遊ぶためにがんばって働こうと思わせたりして、プラスになる側面の方が多いはずだ。
この点、約50年前にスウェーデンの世論調査研究所がおこなった調査では、「ギャンブルを趣味とする人は、そうでない人よりも勤労意欲が旺盛」という結果が出ている。
実際、世界の大金持ちには、ギャンブルを趣味にする人も多く、カジノ業界で「ハイローラー」と呼ばれる彼らは、一晩で億を超える金をカジノで使ったりする。そういう金は、日本にも落としてもらえるにすべきである。



だいたい、最近は本屋に行くと”不労所得のすすめ”的な本が多い。
作者はおおむね脱サラして起業や投資で成功している人たちだ。
こういう本には、ビジネスや投資のコツとともに、サラリーマンがいかに不遇か、ということも書かれている。
とくに若い人の本で過激なのだと、「サラリーマンに未来はない」「大企業は時代遅れ」「できる人間はみんな脱サラしている」などと書かれていて、まるで、コツコツ働くサラリーマンはみんなバカ、という論調である。
多くの日本人はサラリーマンで、そういう人たちの労働で国が支えられているのに、サラリーマンはバカだ、なんて本は明らかに労働意欲を減退させるもので、「健康で文化的な社会の基礎をなす勤労の美風」を保護する観点からは、こういうのをしょっぴいた方がいいんじゃないのか。

雀荘の常連には、”不労所得者”がけっこう多い。
麻雀はホントに魅力的なゲームだし、時間があってお金もある人には、雀荘は絶好の場である。
そういう不労所得者たちは、そうでない常連から、「くそー、働いてもいない奴に負けたー。俺はちゃんと仕事してるのに不公平だー」なんて冗談まじりに言われることもあり、彼らは苦笑していた。
ただ少なくとも、「俺は不労所得者だから偉い」なんて素振りはひとつも見せなかった。
おそらく、働かずに生活していることへの引け目を、ある程度は持っていたのだろう。

しかし、最近の若い投資家の本などは、「コツコツ働くのはバカで、不労所得で稼ぐのが偉い」なんて論調で、それには少し違和感を覚える。
税金をちゃんと払う以上、儲けるのは自由だし、そのノウハウを本にするのも自由だが、アピールしたいがために労働者をバカにして労働意欲を減退させるようなことを書いちゃうと、それはちょっとマズイんじゃないのか。
憲法27条1項には勤労の義務が定められていて、勤労の美風を害するのは刑事処罰の根拠になると最高裁判所も言っている。

まあもちろん、表現の自由というのはもっとも守られるべき権利なのではあるが、ただ、テンゴ雀荘でコツコツ働いている従業員が「勤労の美風を害する」として賭博罪で検挙される一方で、「コツコツ働くとバカを見る」なんて書かれた本が書店に堂々平積みされているのを見ると、それは不公平過ぎるでしょ、と強く思う。


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