津田岳宏の事務所

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2013年3月 6日 (水)

法の神様もギャンブル好き

過去にスウェーデンでおこなわれた調査では、ギャンブルを趣味とする人はそうでない人よりも勤労意欲旺盛、という結果が出ている。

事実、偉人といわれる人にも、ギャンブル好きは多い。
今日はそのうちの1人を紹介する。


1891年(明治24年)、日本を訪問中のロシア皇太子ニコライが警備していた警察官・津田三蔵に斬りつけられるという事件が起きた(大津事件)。
当時の日本は、大騒動となった。
なにせ、ロシアは超大国である。
怒ったロシアが攻めてきたら弱小の日本なんかひとたまりもない・・とみんなおおいに心配した。
寺や神社ではニコライ治癒を祈祷し、学校は謹慎の意を表して休校した。ニコライのもとには、1万通以上の見舞い電報が届いたという。
日本中が総力結集して「ごめんなさい」をしたのである。
なかには、「死をもって詫びる」として京都府庁の前でカミソリで喉をつき自殺した民間女性もいたというのだから、激しい。

犯人の津田三蔵に対しては、日本中が「何すんねんお前wwwwww」である。
「津田」性及び「三蔵」名の命名を禁じる条例を決議した県もあったほどだ。
当時の「津田さん」たちは、みんなホントに肩身がせまかったろう、同情する。

そのような状況のもと、津田三蔵は裁判にかけられたのだが、問題になったのは、適用される罪である。
当時の刑法では、天皇や皇太子など皇室に危害を加えた場合は死刑、と定める「大逆罪」があった。
しかし、大逆罪は、あくまでも日本の皇室を被害者とする罪であった。
外国の皇室を対象にした罪はなく、法律上は、ニコライは日本の民間人と変わらない扱いであり、津田は謀殺未遂罪となって死刑を適用することができななかった。

しかし、とくに政治家たちは、みんなロシアが怖い。
伊藤博文や松方正義などの大物政治家は、裁判所に対し強い圧力をかけてきた。
津田に対しては大逆罪を類推適用して是が非でも死刑にすべきである、と。

ここで出てくるのが、当時の大審院長であった児嶋維謙である。
大審院長は、今でいう最高裁判所長官、つまり、裁判所のトップだ。

児嶋は、「刑罰は法律に基づいて決めるべき(罪刑法定主義)」という大原則を破るわけにはいかない、という信念のもと、担当裁判官たちを説得し、結果、津田は、謀殺未遂罪で無期刑となった。

この児嶋の対応は、「司法権の独立」をきっちり守った、として国内外から高い評価を受けた。
児嶋は、「護法の神様」と呼ばれることになる。


さて、この法の神様だが、事件の翌年である1892年にスキャンダルに巻き込まれる。
花札賭博をしたとして、他の裁判官5名とともに懲戒裁判にかけられてしまったのだ。
裁判自体は、証拠不十分で免訴であったが、児嶋は、責任を取って辞職した。

証拠不十分とはいえ、児嶋が花札をしていたことは事実だろう。
護法の神様、児嶋維謙。
彼もまた「嫌いな方ではない」男であった。
法律家としての熱い信念とゲームに興じる少年の心をあわせ持ったこの児嶋という人を、私は心から尊敬している。

それにしても恐ろしきは国家権力である。
事件の翌年のスキャンダルというタイミングからして、大物政治家の圧力を無視し「逆らった」ことが影響しているのは間違いない。
たとえ裁判官であっても、この国では、出る杭は全力で打ちにいくww

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コメント

おもろいすw
司法の側に急に親近感がわきましたわ。

>福地さん

コメントありがとうございます。

裁判もある意味で勝負事ですから。それもあってか、司法界にも”隠れファン”は多いですよ

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