津田岳宏の事務所

無料ブログはココログ
2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

« 最強の3人打ちー反射読み | トップページ | どうしてギャンブルが好きなのだろう »

2014年7月26日 (土)

稀代のギャンブル依存症者

やや遅ればせになるが,大王製紙元会長井川意高(以下「著者」という)の懺悔録「熔ける」を読んだ。

同書には,著者と女性芸能人との派手な交際も赤裸々に綴られていて,発売当時はそれが話題になっていたのだが,やはり私としては,著者がいかにしてカジノにのめり込んでいったかの記述に興をそそられた。

著者は,典型的なギャンブル依存症である。
本ブログでも書いたこともある「快感回路」によれば,他の依存症に比べたときのギャンブル依存症者の特徴は,ビジネスの世界で成功している精力的で革新的な人物が多い点だ。
結果にこだわり,結果のために全力を尽くし,成功のためにはリスクも取れる。
ビジネスで成功するためいのこういう要素が,悪い方向に作用してギャンブル依存症になるケースが多いのだという。

同書を読んでいると,著者はその典型である。
著者は大王製紙の3代目であるが,父である2代目は厳しい人物で,20代の著者を巨額の赤字を抱えた関連会社に放り込んだ。
著者は3年間遮二無二に働き,最終的には黒字に持っていった。
社長になってからも,大きな赤字を抱えていた部門を黒字に持っていくなど,らつ腕ぶりを発揮した。
背任で逮捕されたのち,大王製紙の社員も多数取り調べを受けたのだが,著者の仕事ぶりを批判する社員はひとりもおらず,検察官から「井川さんは仕事はできる人だったんですねえ」と皮肉を言われるほどだったという。

そんな著者の仕事についての記述を読むと”数字”へのこだわりが強く感じられる。
「浪花節で細部をごまかすことを嫌い,細かい数字にのっとって論理的かつ理詰めで考えていった」「ビジネスの世界は数字が全て」などの記述が多数出てくる。
数字にこだわり,数字で勝負したがる性格だからこそ,ギャンブルの”数字”に常軌を逸してのめり込んでいったのだろう。

興味深かかったのは,著者はギャンブルにはまった原因について「私は単純にギャンブルが好きでたまならかったのである。仕事のストレスが原因でカジノにはまったと言い訳する気は毛頭ない」と書いていることだ。
潔い記述であり,そして,私はこれが多くの依存症者の本音だと思う。

覚せい剤で捕まる人は多く,私も何回か弁護人をしたことがある。
「どうして覚せい剤なんかに手を出したのですか」と私が聞くと,彼らは多くの場合「そうですねえ・・」などと口ごもってしまう。
個々に様々な要因があるにせよ,とどのつまり,きっと彼らは覚せい剤が”好き”でやったということがほとんどなのだろう。
ましてカジノでのギャンブルは,それ自体は合法な行為である。みんな好きでやっているのであり,常軌を逸してのめり込む人もそれは同様なのだろう。

ギャンブルは楽しいものである。
これを好きになる人が多いのは当然だ。
しかし,依存症になるほど好きになってしまうと,著者のように周囲に被害を及ぼすのであり,その状況からは脱却せねばならない。
「快感回路」によれば,最近の研究から,ギャンブル依存症は,薬物依存症よりも格段に脱却しやすいものであることが分かっている。
著者は,関連会社から借り入れた多額の金は持ち株を売却して全て返済したのであるが,会社に与えた無形の損害(イメージの悪化等)が考慮されたのであろう,懲役4年の実刑判決を受けた。

同書は,文章も平明で読みやすく,著者が仕事のできる人物であることは,文章からも伝わってくる。
出所したときは,ギャンブル依存症から脱却し,その経験を依存症軽減のために役立てるような活動もしてもらいたいと私は思った。

ちなみに,著者は,小学生からずっと麻雀ファンだったという。
今でも麻雀は好きなようで,同書には「最近の麻雀はデータの統計もしっかり取られていて一発ツモの確率まで計算されている。一発ツモの確率とは,ある統計では約10%だそうだ」という記述も出てくる。
著者が最先端の麻雀本に目を通していたことがうかがわれる。

同書には,麻雀だけやっていればこんなことにならなかったのに・・という後悔の記述も出てくる。
本当にそう思う。
稀代のギャンブル依存症者の本からも,賭け麻雀が健全な遊びであることがよく分かる。

よろしければクリックお願い致します→

 人気ブログランキングへ

« 最強の3人打ちー反射読み | トップページ | どうしてギャンブルが好きなのだろう »

ギャンブル」カテゴリの記事

コメント

どうでも良いことで失礼しますが
一発ツモの確率(統計値)が約10%というのは常識的にありえないと思います。
和了時比率かなにかの誤りでは?

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1790625/56905689

この記事へのトラックバック一覧です: 稀代のギャンブル依存症者:

« 最強の3人打ちー反射読み | トップページ | どうしてギャンブルが好きなのだろう »