津田岳宏の事務所

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2014年12月 1日 (月)

キャバクラでの飲み方が弁護士の資質に影響するとされた事件

話題の女子アナ内定取消事件は,水商売へのイメージが論点になる。
夜の店へのイメージが問題になった事件では,こんな事件もある。

(事例)
テレビ番組に出演していた弁護士Aは,ゴシップ誌にキャバクラ通いをすっぱ抜かれた。記事には,Aがキャバクラに「ハマリ中」で週に2,3回店に通い,店に行く前にはオキニの女の子がいるかを確認し,同伴も頻繁にしていると書かれていた。さらには,Aがハメを外して「乳首触らせて」と女の子にせまっていた,などと書かれていた。Aは出版社に,名誉毀損を根拠に300万の損害賠償を請求した。


法律上,名誉毀損事件の考え方は,以下の順で検討する。

①人の社会的評価を低下させたか
②(させたとして)内容に公共性があり,かつ真実か

人の社会評価を低下させることを言ったり書いたりすると名誉毀損になるが,言論の自由の重要性にかんがみ,内容に公共性があって真実であれば,損害賠償はしなくてよい。
たとえば,政治家に関する言論は公共性があるので,内容が真実であれば,激しく批判してもOKだ。


本件では記事の中の

(1)キャバクラにハマリ中
(2)「乳首触らせて」とせまった

の記載が名誉毀損になるかが検討された。

まず(1)について裁判所は

「『ハマリ中』であるとの文言は,理性を欠いて過度に利用していることを連想させ,弁護士としての品位に欠けるとの印象を与えるおそれも十分ある」

として,社会的評価を低下させたと認めた。
たしかに,とくにAは「真面目キャラ」で売っていただけに,この記事は相当に痛かっただろう。
ここでのポイントは,キャバクラ等の夜の店が人のイメージに影響するものであることを,裁判所が認定したことだ。

ただ,次の段階で裁判所は

「弁護士の社会における立場及び活動の性質は公的な色彩を帯びる」
「弁護士として取り扱う法律事務の中には異性間の交際や対立に起因する紛争が含まれており,これを法律専門家として処理する際に異性関係についての基本的な考え方が反映する」
「本件報道自体は,法律専門家としての資質に疑問を呈する一要素になり得るものというべき」

として,記事の内容に公共性があると認めた。

裁判所は,キャバクラへの通い方や飲み方が弁護士の資質の一要素にあたると判断した。
なかなか柔軟で鋭い指摘だ。僕は大学のときにキャバクラでアルバイトしたことがあったけど,やはり飲み方の綺麗汚いというはすごくあって,そこに「異性関係についての基本的な考え方が反映する」というのは正しいと思う。


さらに裁判所は,証人のキャバクラ嬢の証言などから

「Aのキャバクラへの行動傾向は,理性を欠いていると評価されるほど夢中になった状態にあったとまでいうことはできないけれども,赴く頻度の高さ等に照らすと,通常の利用客よりもかなり積極的であったといって差し支えない」

として,「ハマリ中」との言葉は誇張されたきらいはあるけれど虚偽であるとはいえない,と判断して,結論として(1)についてAの請求は認められない,とした。

次に(2)の「乳首触らせて」について裁判所は

「客の性的好奇心に応じて役務を提供する業種とは異なるキャバクラの店舗内であるにもかかわらず,女性に対する節度ある接し方をわきまえない品性に欠けた人物であるとの印象を一般に与える」

として,社会的評価を低下させたと認めた。

さらに,記事の公共性は認められたが,「乳首触らせて」という発言があったとは認定できないとして,記事は真実ではないとされ,結論として(2)についてAの請求は認められた。金額は30万円と認定された。


結果としてこの事件は,Aがキャバクラに熱心に通っていたことは事実だが,「乳首触らせて」と言ったことはない,という認定がされ,Aの請求は30万円の限度で認められた。
まあ,痛み分けといったところか。


(まとめ)
①夜の店にかかわることが人のイメージに影響することは裁判所も認めている
②夜の店での飲み方が弁護士の資質に影響することを裁判所は認めた

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